日本ストーマリハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8806
Print ISSN : 0916-6440
10 巻, 1 号
10巻1号(通巻21号)
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
表紙・目次
原著
  • 小出 昭彦
    1994 年 10 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     オストメイトの身体環境の良否は主としてストーマの位置に左右される。術前にマーキングを励行し,手入れし易く,平坦な場所にストーマを造設することが大切である。
     オストメイトの社会環境を向上させるためには,使い易くて,社会性を高める装具の考案を,また精神環境の向上には,ストーマが精神的負担にならないことを論し,ストーマケアがいつ,どこでも行えるように指導することである。
     他方,オストメイトとしては,常に身綺麗にし,ストーマと共に生きがいをもって,毎日生活して行くことである。
  • 藤高 嗣生, 小林 理一郎, 正岡 良之, 小島 康知, 豊田 和広, 伊藤 敬, 岡島 正純, 川堀 勝史, 浅原 利正, 土肥 雪彦, ...
    1994 年 10 巻 1 号 p. 7-16
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     大腸手術患者のQuality of Life(QOL)を評価する質問票を作製するため89症例に対して調査を行った。この調査結果をもとに大腸手術患者に対するQOL質問票(暫定案)を作製した。この質問票は因子分析で5因子を抽出し多元的な要素を持つ質問票であることが示され,また信頼性の検討をした結果,α係数が0.86と高い信頼性が得られた。次にこの質問票の得点の標準化をおこない,高い,普通,低いの3段階評価が行えるようにした。さらにQOLについて人工肛門の有無と経時的変化について検討し,有意差はなかったが各因子について人工肛門患者の方がQOLが低い傾向を認めた。しかし排尿,排便に関する因子では逆に人工肛門患者の方が術後に高くなる傾向を示した。
  • 塚田 邦夫, 徳永 恵子, 岩間 毅夫, 三島 好雄, 田沢 賢次, 藤巻 雅夫
    1994 年 10 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     ポケットを有する褥創は比較的よくみられるが,治療法の選択に難渋する例が多い。今回創傷治癒の原則に則って治療し,一定の有効な方法に達した。
     まず,創面のデブリードメントを基本とし,創内にきれいな肉芽を盛り上がらせた。このとき,創周囲皮膚の発赤・腫張・疼痛・熱感の「化膿の4徴」の有無によって,デブリードメントの方法と緊急性を判定した。その後ハイドロコロイドドレッシングを用い,一気にポケットが癒着によって閉鎖した。これはいわゆる遅延一次癒合閉鎖に属する治癒形態であった。ポケット内の癒合が望めない例では,早期にポケットをオープンする方法を選択する。いずれにしても湿潤環境と消毒剤の不使用が重要であった。
  • 沼田 悟, 久保 善規, 吉川 隆造, 穴沢 貞夫, 進藤 勝久, 松本 恵一, 古畑 哲彦
    1994 年 10 巻 1 号 p. 25-34
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     皮膚保護剤に含まれる各種親水性ポリマーの皮膚保護効果を比較検討するため,カラヤガム,柑橘ペクチン,リンゴペクチン,CMC,それぞれの単一配合と,複数配合による試作皮膚保護剤のヒト皮膚への貼付テストを行い次の結果を得た。
    1. 各種親水性ポリマーのうち皮膚保護効果が優れているのはカラヤガムと柑橘ペクチンであり,反対に劣っているのはCMCであった。
    2. 親水性ポリマーとしてカラヤガム,柑橘ペクチンを配合した皮膚保護剤はカラヤガム,CMC配合皮膚保護剤よりも皮膚保護効果において優れていた。
  • 藤川 由美子, 鶴田 早苗, 柴田 興彦, 内田 雄三
    1994 年 10 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     一時的イレオストミーは,通常のイレオストミーと同様に,術前のプランニングや,局所管理が不十分であれば,日常生活が制限されたり,心理的な負担を患者に与えることにもなる。今回,一時的イレオストミー造設後,スキントラブルに難渋した6症例の,局所管理と問題点の解決策について報告する。6症例とも,局所管理条件を考慮し,予防的なスキンケアや,装具を選択することでスキントラブルは改善した。これらの症例を通して,一時的イレオストミーの持つ問題について以下のことを考慮した管理が肝要である。
    1. 緊急でストーマを造設する場合,マーキングの重要性を再認識し,可能な限りマーキングを施行する。
    2. 局所管理条件を考慮し,セルフケアしやすい1cm以上の高さのあるストーマ造設が望まれる。
    3. 患者の社会的背景や,セルフケア能力を把握し,患者が満足度を得られる管理をすすめる必要がある。
  • 内川 とし子, 武田 真由美, 加藤 留美子, 松本 亜希子, 園田 玲子
    1994 年 10 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     膀胱タンポナーデの治療のため,膀胱瘻を造設し,持続灌流を行ったが,凝血によるカテーテル閉塞で周囲からの漏れが多量にあった症例を経験した。膀胱瘻からの灌流液の漏れは昼夜を問わず頻回であり,漏れによる不快感,精神的不安,夜間不眠が問題となった。さらに,膀胱瘻周囲の皮膚にビランを生ずる恐れがあった。そこで授乳用乳首とウロストミー用装具(ニップルパウチ)を組み合わせ膀胱瘻にパウチングした。その結果,灌流液の漏れはパウチ内に貯まり,患者の不快感,精神的不安が軽減でき,予測されたスキントラブルもみられなかった。また,治療上必要な持続灌流も続行できた。さらに,ガーゼ交換が不要となり,ケアの経済性の面でも有効であり,本法の有用性が示唆された。
  • 竹内 孝子, 高末 真知子, 都筑 重利, 野口 徹, 西出 薫
    1994 年 10 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     1日約800mlに及ぶ多量の上部小腸排液により,皮膚障害を起こした超短小空腸瘻の症例に対して,瘻孔に皮膚保護剤付のパウチを使用して排液を処理する方法(以下パウチドレナージ法)を施行し,良好な結果を得た。当初1日平均3回のガーゼ処置を行っていたが皮膚障害は増悪し,患者の苦痛も強く瘻孔周囲の皮膚の発赤,びらん状態は1ケ月以上も遷延した。そこで,パテ状皮膚保護剤,撥水性皮膚保護剤,サージドレーン・オープントップ®A(M)を用い適切なパウチングをしたところ,10日程で皮膚障害が改善した。苦痛を軽減することは,患者と看護者間の信頼関係の確立を促した。また頻回の処置が不要となり看護の省力化を可能にした。以上により管理困難な瘻孔に適切なパウチドレナージ法を施行することは有益であることが示唆された。
  • 佐々木 廸郎, 春日井 貴美恵, 国井 康男, 石川 ゆり子, 鎌迫 陽, 成田 智子, 篠原 央, 神谷 睦子, 吉川 宣輝, 村上 トム ...
    1994 年 10 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     オストメイトの臭気対策は古くて新しい問題であるが,その理想は排泄される 内容の消臭が可能になることである。
     今回,100例のオストメイトに人参葉末を2週間連続服用し,その著効と有効を合わせた有効率は服用後7日目で74%14日目で85%と顕著であった。また7日目有効例の19%が14日目に著効になり7日目無効例の38%が14日目に有効例になり服用を続けることにも意味があることを示した。
  • 門脇 淳, 荻野 佳紀, 伊藤 允, 小暮 洋暉, 石川 美知子, 小島 典子, 五十嵐 トヨ子, 山名 敏子
    1994 年 10 巻 1 号 p. 59-65
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     「国内主要ストーマ用品一覧」1992年版を基本に,消化器系ストーマ装具477種類をパーソナルコンピューターに登録した。用いたソフトは「ファイルメーカープロ」で,同時に独自の選択基準による装具の適応を入力し,種々の消化器ストーマに対して主としてシミュレーションによる選択と少数の臨床例の選択を試みた。結果は,一般的なストーマについては細かい選択は出来なかったが問題のあるストーマについては比較的限定した選択ができた。選択基準と装具自体の適用基準があいまいな現在の情況では装具を20種類程度まで絞り込むのが限度であった。今後は選択基準の客観化と装具の情報公開が望まれた。
  • 原田 俊子
    1994 年 10 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     ストーマケアで施行されるパッチテストの安定性に簡易性を配慮し,客観的評価が得られるように,パッチテストに使用するストーマケア用パッチテストシート(以下,Pテスト)を独自に作成し,その実用性を評価した。調査は,オストメイト40名を対象に試用し,施設の異なる医療従事者(医師,ET,看護婦)25名によって検討,評価された。その結果,貼付の安定感があるのは100%,違和感なしが78%,貼付が簡易であるが93%,剝がしやすいが75%,と使用感について評価され,継続使用を希望するが88%を占め,85%が実用性を評価し,Pテストの有用性が認められた。
地方会抄録(地域研究会記録)
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