日本ストーマリハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8806
Print ISSN : 0916-6440
症例報告
空腸ストーマ造設後の多量の水様便に対する効果的な飲水指導―残存空腸約150cmとなった一症例を経験して―
五十嵐 由美
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2003 年 19 巻 2 号 p. 80-84

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抄録
 空腸ストーマ患者において、脱水、電解質不平衡等が問題となるため、効果的な水分・電解質補給が重要である。今回筆者らは、胃癌腹膜播腫による腸閉塞に対し残存空腸約150cmの空腸ストーマを造設した症例に、低浸透圧飲料を控え、等浸透圧に近い市販スポーツ飲料(大塚製薬:ポカリスエット)を飲水するよう指導した。その結果、腸蠕動抑制効果のある薬物の使用効果もあり、スポーツ飲料1500ml/day摂取したところ、ストーマからの一日排便量が4000mlから2000mlに減少し、尿量が平均380ml/dayから800ml/dayに増加した。この結果から等浸透圧に近いスポーツ飲料の効果は確認された。しかし、文献的には電解質含有量からスポーツ飲料は十分ではなく、電解質を多く含有する等浸透圧に近い経口補水液Oral rehydration solution(ORS)の飲水が有効となりえることが示唆された。
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