抄録
回腸肛門吻合術を行ない,外来通院中の潰瘍性大腸炎27例,大腸腺腫症26例の計53例について排便・漏便状況,皮膚障害の発生状態,社会生活におけるセルフケアの状態などについてチェックリストを用いて調査,解析した。術後第7病日,79%にみられた皮膚障害発生頻度は,6カ月経過時では22%と減少した。このことは,排便回数,漏便頻度が関連し,潰瘍性大腸炎症例は大腸腺腫症症例より回復状態は悪かった。皮膚障害を重症度別に5段階に分類することで,病変の客観的把握,経時的観察が容易になった。また,皮膚管理をマニュアル化することで,セルフケアの指導,援助への合理化が計れ,予防的見地から術前教育にも効果的と考えられた。