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山本 貞博
1990 年6 巻1 号 p.
31-36
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
ジャーナル
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大腸瘻と回腸瘻を体験した外科医として,成書に現われない諸困難と対策を検討した。
手術では早期発見と肛門温存術式が望ましい。人工肛門造設の止むなき際には根治性とともに機能保全を重視し,良好なストーマを作る必要がある。
装具の進歩は,良好な手術が前提だが,複雑多数の選択は一般患者に迷惑。医療関係者の公正適切な助言が必須になっている。
患者心理の経時的変化を正確にとらえ,術前術後管理から,より良き社会復帰に協力し得てはじめてオストメートの治療が完成することを述べた。
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田村 由美, 日野 幸子, 川下 英三, 白石 恒雄
1990 年6 巻1 号 p.
37-41
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
ジャーナル
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ストーマ造設後の合併症としてのストーマ出血はそれほど頻度は高くなく,重篤なものは極めて稀である。今回私達は,繰り返すストーマ出血により,重篤な状態に陥った症例を経験した。本症例は,何度かの重篤な状態から救命,回復し得た。しかし,ストーマ出血とそれに伴うストーマ粘膜及び周囲皮膚障害のため,局所のケアに難渋した。また,高齢の夫婦二人暮しのため,自宅でのケアに不安がありリハビリテイトが困難だった。ストーマ出血への対策から,原因を考察すると共に,本症例へのストーマ局所ケアの経過を報告した。今後は本症例のような,高齢の在宅オストメイトに対しての医療福祉をより充実させる必要がある。
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葛西 恵美子, 西沢 由美子, 藤田 あけみ, 佐藤 しのぶ, 相馬 美香子, 川崎 くみ子, 森田 隆幸, 今 充
1990 年6 巻1 号 p.
43-48
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
ジャーナル
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胃癌手術後に合併した複雑な小腸瘻の症例を中心に,その管理上の問題点と実際を報告した。排液量が多く,瘻孔部はスキンレベルより下にあり,その解剖学的位置関係も不明であるため,管理には多くの困難を伴なった。しかし,第一段階としてCMC系皮膚保護剤とパウチングの併用により瘻孔周囲の皮膚の改善をはかり,第二段階として腸管の造影所見を参考に瘻孔の単一化をはかったところ良好な結果が得られた。瘻孔を合併した患者に対し皮膚保護剤を活用し積極的に瘻孔の管理をすることによって,創の縮小化もすすみ,自己管理,さらに社会復帰の道も開けるものと思われる。
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伊藤 薫, 高柳 淳子, 青木 けい子, 大伍 マサヨ, 前川 厚子, 丸山 洋, 畑尾 正彦
1990 年6 巻1 号 p.
49-52
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
ジャーナル
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事例は65歳の女性,1962年に38歳で子宮がんにより放射線治療を受けた。63年に放射線性大腸潰瘍で下行結腸ループストーマを造設。その後も度々イレウスの再発を起こしてきた。
病悩期間は28年間で,晩発性障害は持続している。ストーマ下方と両殿部は,広範囲にわたる皮膚の欠損,重篤な潰瘍を呈し便性もゆるく排泄管理に工夫を要した。
私たちはセルフケアの確立を主眼に患者援助した。潰瘍部にはレミダーム小片を貼り,ポスパックBを使用した。この結果,患者のスキンケア技術は向上し,パウチ装着と排泄管理ができるようになった。軽快退院後はハイリスク患者としてストーマ外来でフォローアップをしている。
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松本 敦子, 高橋 真澄, 嗚海 純子, 片岡 みつゑ, 大木 繁男
1990 年6 巻1 号 p.
53-57
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
ジャーナル
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潰瘍性大腸炎に対する手術方法として,大腸全摘・直腸粘膜抜去・回腸嚢(J-Pouch)回腸肛門吻合を行っている。この場合術後より頻回多量の水様便が排泄され,そのために肛門周囲に糜爛,皮膚炎などの皮膚障害を起こし易い。そこで本疾患と手術治療を十分に理解し,術後障害を最小限にするためにJ-Pouch看護マニュアルを作成した。内容は以下のとうりである。
A. 術前オリエンテーション(家族を含める) 1.医師による手術とイレオストミーの説明。2. 看護婦は患者が自ら具体的にイメージできるように説明。3. パッチテストの施行。4. ストーマサイトマーキング。5. 起こり易い合併症についての説明。6. 簡単に装具交換の方法とデモ。7. 肛門括約筋運動の練習。B-Ⅰ.術後の指導とケア。ストーマを造設した場合。1. ストーマに適切な装具を選択。2. 肛門括約筋収縮運動の開始。B-Ⅱ. ストーマを造設しない場合。1. 肛門周囲の皮膚の保護。2. 排便時間の短縮を図る。3. 排便後ウォシュレットの使用。4. 食事についての指導。C. ストーマの閉鎮後はB-Ⅱに準ずる。以上の看護マニュアルを活用したところ肛門皮膚障害は起こさず,さらに精神的にも安定を得ることができた。
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坊田 友子, 徳永 理生, 福島 ゆかり, 吉住 千里, 黒木 静子, 森内 美香, 高野 正博
1990 年6 巻1 号 p.
59-63
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
ジャーナル
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クローン病で大腸亜全摘・イレオストミー造設後,イレオストミ一周囲に潰瘍を繰り返す症例を経験した。局所のケアには創傷被覆材
1)を用い,潰瘍は改善された。しかし繰り返す潰瘍形成とクローン病
2)との関係を明らかにするために,潰瘍形成の時期と全身栄養状態およびクローン病活動性との関係について検討した。
その結果,クローン病患者におけるイレオストミー周囲の潰瘍形成は局所的な便もれだけでなく,栄養状態やクローン病の活動性そのものが影響していることが示唆された。本疾患にみられるストーマ周囲の潰瘍の発生・再発を防止するには局所のケアのみならず,全身状態の把握と管理が必要であると考えられる。
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藤本 恭士, 永田 幹男, 貫井 文彦, 岡本 重禮, 佐貫 淳子, 南 由起子, 小池 みどり
1990 年6 巻1 号 p.
65-68
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
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尿管皮膚瘻術を施行した18症例について検討したところstoma狭窄は放射線照射例,糖尿病合併者,肥満者に多い傾向を認め,水尿管ではむしろ少ない傾向を認めた。stoma狭窄の対策及び予防として改良型ウロステントを使用し,良好な成績を得た。
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足達 映美, 原口 恵美, 石坂 敏子, 大崎 純子, 西村 美枝子, 原田 俊子, 荘司 康嗣, 楠原 清史, 山村 武平
1990 年6 巻1 号 p.
69-73
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
ジャーナル
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イレオストミーの管理は一般的に難しいとされている。そこで私たちは一時的イレオストミー造設後2週間の局所管理に焦点を当て調査を行った。
今回,大腸腺腫症,潰瘍性大腸炎で一時的イレオストミーを造設した患者23例を対象に①便の排泄量とその性状,②ストーマの状態,③装具の状態,④ストーマ周囲の皮膚の状態の4点にポイントをおき,適切な装具の選択と交換の時期について検討した。
便の排泄が始まる前後2日目までの装具としてホスパックKを選択した。ホスバックKは皮膚への剌激が少なく,柔軟性があり.毎日の交換で浮腫や出血・壊死・陥没などの早期発見と皮膚の観察が容易にでき,術直後のストーマを愛護的に扱うために有効性が高い。
便排泄開始の術後3日目からはホリスターツーピースバリアを選択した。ホリスターツーピースバリアは耐久性があり,観察しやすく,手技も容易である。また2日毎の交換を実施することにより皮膚障害も予防でき,患者へのストーマに対する意識も高まり,セルフケアヘの援助が円滑に進み,習得までの期間を2週間に短縮することができた。
以上,検討内容をふまえイレオストミー造設後2週間のケアープログラムを作成した。
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徳永 恵子, 今城 眞人, 岩間 毅夫, 三島 好雄, 生山 博
1990 年6 巻1 号 p.
75-79
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
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コロストミー造設術後に結婚し妊娠出産を希望するオストメイトの相談をストーマ外来にてうけ,外科医,産科医の協力のもとに無事出産した一例を経験した。原疾患は直腸癌で,術後も長期にわたり抗癌剤を服用していたため,その影響が心配されたが,妊娠の維持及び胎児に対して障害は認められなかった。妊娠中の全身的,局所的合併症の発生も特に認めなかった。出産は産科的な理由で帝王切開になったが,オストメイトにおける正常分娩も十分可能であると思われた。加えて,本邦症例7例についても調査検討した。
ストーマリハビリテーショソの進歩と共にオストメイト,ストーマケアにかかわる者にとって興味深く意義のある症例と思われたので報告した。
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和志田 裕人, 渡辺 秀輝, 野口 幸啓, 佐々木 昌一, 加藤 誠, 杉野森 旬子, 吉村 公博, 清沢 真
1990 年6 巻1 号 p.
81-84
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
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近年ストーマリハビリテーションに対する関心が高まっている。しかし,リハビリテーションの手技についての研究が盛んではあるが,オストメイトの社会的問題については十分に検討されているとは言いがたい。
Medical social workers(MSW)は,オストメイトが社会資源を活用するには最も適している。MSWが実際のストーマリハビリテーションにどの程度関与しているかは不明である。東海ストーマリハビリテーション研究会会員にアンケート調査を行ったので,その結果を報告した。101名(医師:47名,看護婦:50名,MSW:4名)より回答があった。52名の病院にはMSWが働いていなかった。MSWへの紹介の理由は,社会的問題の解決が大半であった。会員の多くは,ストーマの受容に際してMSWの存在を必要としていた。MSWは,ストーマリハビリテーションにおいて重要であると考えられた。
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原田 俊子, 川畑 節子, 宮下 カズ子, 恒松 明美, 楠原 清史, 太田 昌資, 荘司 康嗣, 宇都宮 譲二
1990 年6 巻1 号 p.
85-93
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
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回腸肛門吻合術を行ない,外来通院中の潰瘍性大腸炎27例,大腸腺腫症26例の計53例について排便・漏便状況,皮膚障害の発生状態,社会生活におけるセルフケアの状態などについてチェックリストを用いて調査,解析した。術後第7病日,79%にみられた皮膚障害発生頻度は,6カ月経過時では22%と減少した。このことは,排便回数,漏便頻度が関連し,潰瘍性大腸炎症例は大腸腺腫症症例より回復状態は悪かった。皮膚障害を重症度別に5段階に分類することで,病変の客観的把握,経時的観察が容易になった。また,皮膚管理をマニュアル化することで,セルフケアの指導,援助への合理化が計れ,予防的見地から術前教育にも効果的と考えられた。
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都築 靖, 石井 和代, 糸賀 俊一
1990 年6 巻1 号 p.
95-99
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
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直腸癌によりMiles手術施行後の34歳のオストメイトの妊娠出産例の報告と本邦におけるオストメイトの出産例に臨床的検討を加えた。
1)本邦におけるオストメイトの出産例は自験例を含め8例である。
2)基礎疾患は4名が良性,4名が悪性である。
3)悪性例の分娩様式は全て帝王切開術であるが,必要条件とは考えられない。
4)自験例は妊娠期間中もストーマの変形はなく,洗腸も継続できた。
5)Miles術後,5年間の経過観察が妊娠出産には必要であると考える。
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渡辺 成, 品田 ひとみ
1990 年6 巻1 号 p.
101-104
発行日: 1990年
公開日: 2024/10/31
ジャーナル
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オストミービジター制度を我が国で普遍的に活用するには少なくとも以下の4項目の条件が整えなくてはならない。オストミービジターを受け入れる施設側の条件として,1)オストミービジターの役割を明確に把握しておく事,2)オストミービジターの活動で不都合な事が起こったときの対応を考えておく事。オストミービジターの側に求められる条件として,1)オストミービジター教育プログラムにより十分な教育を受ける事,2)病院や患者さんを訪れるときの立場は"オストミービジターの会"からの派遣とする事。以上の4条件が満たされれば,わが国においてもオストミービジター制度は十分にその機能を発揮できるであろう。
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