抄録
ストーマケアに広く用いられている皮膚保護剤の手術創に対するケロイド形成予防効果を検討した。腹部外科手術を受けた42人の患者を対象として,手術直後から5週間,手術創の1/2に皮膚保護剤(コロプラストウェハー)を貼用し,最長8ヶ月間,平均4.4ヶ月間観察した。皮膚保護剤の貼用部では創の凹凸が減り,瘢痕が細くなることが判明した。ケロイド形成予防効果は1ヶ月目にみられたのみであった。皮膚保護剤の貼用部の皮膚のpH値は,非貼用部および対照とした前胸部の皮膚のpH値に比しよりアルカリ側へ傾いており,皮膚保護剤の手術創に対する効果とpHに対する緩衝作用との間には直接の関連性はみられなかった。