日本ストーマリハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8806
Print ISSN : 0916-6440
8 巻, 1 号
8巻1号(通巻15号)
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
表紙・目次
原著
  • 佐々木 廸郎
    1992 年 8 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     日本の人工肛門・直腸癌治療の歴史を1942年から1965年までの医学中央雑誌の論文を対象に研究した。
     直腸癌の治療術式は昭和38年(1963)頃に現在の腹会陰式一次術式が定着した。
     人工肛門の装具はいくつかの変遷を経て昭和34年(1959)に石田式装具が完成し昭和40年(1965)に日本製の装着具が発売された。
  • 藤高 嗣生, 川堀 勝史, 松山 敏哉, 土肥 雪彦, 神山 貴弥, 藤原 武弘, 伊藤 信子, 金澤 紀代子, 三上 美由紀, 新屋 福江 ...
    1992 年 8 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     近年Quality of life(QOL)に対する関心が高まり種々の報告がされている。今回われわれは大腸手術患者のQOLを評価する質問表を作成する目的で予備調査を行った。その結果,手術群と非手術群にQOLの差はなく,また,人工肛門の有無でも差は認められなかった。しかし,手術群のなかで合併症の有無で比較したところ,因子分析で抽出した8因子のうち2因子で有意に合併症の無いもののQOLが良好であった(P<0.01,P<0.001)。大腸手術後の患者のQOLに関しては原疾患のみならず合併症に対する十分な対応が重要であると思われる。
  • 五十嵐 正利, 平野 浩通, 吉川 隆造
    1992 年 8 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     粘着絆に通気性や伸縮性を与える事が,粘着絆の繰り返し連続貼付時に発生する皮膚障害に対し及ぼす効果を,健常者による貼付試験によって検討し,次の結果を得た。
    1. 交換周期が長いほど皮膚に与える損傷は少ない。
    2. 交換周期が長いほど剝離力は小さい。
    3. 通気性の粘着絆は皮膚損傷の発生が少ない。
    4. 伸縮性の粘着絆は追従性が良く違和感や掻痒感を感じない。
  • 前田 耕太郎, 橋本 光正, 細田 洋一郎
    1992 年 8 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     人工肛門閉鎖前に術後の排便機能を確認する方法として,二連式の人工肛門を有する症例に,人工肛門閉鎖前に口側および肛門側の人工肛門を連絡する装具(colostomy connectorと名付けた)を使用し,術前に排便機能を確認し,排便訓練を行う方法を試みた。対象は第4度会陰裂傷に対する肛門括約筋形成術,covering sigmoid colostomy術後の2例で,人工肛門閉鎖前にcolostomy trainerとしてBiomax new入浴用キャップ®(東京衛材研究所)を使用し,正常な排便機能が確認された。人工肛門閉鎖術後も良好な排便状況であり,colostomy connectorは,人工肛門閉鎖前に排便機能の確認や排便訓練が出来る新しい概念の装具として有用と考えられた。
  • 佐々木 聖子, 菅沼 百合子, 秋山 守文
    1992 年 8 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     1988年から1991年までの4年間に症状緩和目的で人工肛門を造設した12名の患者について食事,自覚症状,paformans status(PS)の3点から奏効性を評価した。その結果12例中11例にPS,食事,自覚症状の改善を認め奏効例と判断できた。Palliative surgeryとしての人工肛門の適応と問題点は以下の通りである。
     ①期待する効果が得られることを前提とする。②体力に無理のない手術手段の選択が必要。③予後ではなく症状の改善を第一の選択理由にする。④説明と同意は多職種の協力と連携が必要である。⑤造設後は病状が安定していると感じさせる看護の工夫が必要である。
  • 佐藤 敏子, 貞広 荘太郎, 岩瀬 幸子, 芹沢 壽子
    1992 年 8 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     ストーマケアに広く用いられている皮膚保護剤の手術創に対するケロイド形成予防効果を検討した。腹部外科手術を受けた42人の患者を対象として,手術直後から5週間,手術創の1/2に皮膚保護剤(コロプラストウェハー)を貼用し,最長8ヶ月間,平均4.4ヶ月間観察した。皮膚保護剤の貼用部では創の凹凸が減り,瘢痕が細くなることが判明した。ケロイド形成予防効果は1ヶ月目にみられたのみであった。皮膚保護剤の貼用部の皮膚のpH値は,非貼用部および対照とした前胸部の皮膚のpH値に比しよりアルカリ側へ傾いており,皮膚保護剤の手術創に対する効果とpHに対する緩衝作用との間には直接の関連性はみられなかった。
  • 西出 薫, 沼田 美幸, 菊池 潔, 田沢 賢次, 丸山 友裕
    1992 年 8 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     サージカルテープはしばしば皮膚炎の問題があった。そこで新たな生体固定材を開発するための基礎研究として各種皮膚保護剤,粘着剤の皮膚への影響をブタを用いて検討した。検体6種をブタの背部に繰り返し貼布し,皮膚変性の状態を肉眼的観察,およびレプリカ像の実体顕微鏡による観察,さらに皮膚生検祖織の病理学的観察を行った。その結果,今回検討した中ではカラヤガム系(以下KG系)皮膚保護剤が最も皮膚変性が少ないという結果を得た。本報では固眼的所見およびレプリカ像について述べる。今後の生体固定材には従来の疎水性物質のみの粘着剤に対し,KG系皮膚保護剤のような親水性物質を取り入れた新しい生体固定材料の開発が望まれる。
  • 加藤 延, 三木 敏嗣, 杉山 久彦, 永沢 康滋, 小林 一雄, 吉雄 敏文
    1992 年 8 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     われわれはS状結腸に単孔式人工肛門を造設した患者にはほぼ全例に洗腸療法を指導している。人工肛門の排便管理は洗腸療法が良いとして指導している立場上,その実態を把握する必要がある。郵送アンケート調査を基本にし,さらに直接外来で診察して実態調査を施行した。現在外来通院しわれわれの管理指導のもとにある50例の人工肛門患者にアンケートをお願いし,調査検討した。洗腸療法継続中の患者36例,中止したとの回答6例,時々洗腸する例4例,無回答4例であった。毎日洗腸しているもの22例,1日おきに洗腸するもの10例,その他4例であった。洗腸療法は継続されている率も高く,それなりに効果を示しているものと考えられた。
地方会抄録(地域研究会記録)
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