抄録
一般に、鱗翅目昆虫中腸では、脱皮時の体サイズの増加に伴い、その器官サイズおよび細胞数が増加することが知られている。しかし、中腸細胞分化促進因子、MDF1(Loeb et al., 1999)に関する報告があるものの、中腸細胞の増殖因子については、ほとんど知られていない。鱗翅目昆虫の幼虫中腸で、インスリン様の免疫化学反応が認められており、インスリン様ペプチドは、細胞増殖因子としても知られていることから、昆虫インスリン様ペプチドであるボンビキシンが、鱗翅目昆虫中腸細胞にたいして、細胞増殖因子として働くのではないかと考えた。今回、ヨトウガの幼虫中腸培養細胞を用いることで、インスリン様ペプチドであるボンビキシンの作用を細胞数計測により調べた。この結果、10-14Mから10-10Mという低濃度で、細胞数を増加させることが明らかになった。また、ボンビキシンによる細胞数の増加率は少ないが、インスリン、IGFも細胞数を増加させることが分かった。