カイコのトレハラーゼには可溶型、及び膜結合型の存在が知られている。卵巣、及び中腸より単離されたcDNAより推定されるアミノ酸配列から、コードされるトレハラーゼは可溶型であると考えられる。又、一般的に膜結合型はアンカーを介するか、膜貫入により結合している可能性が考えられてきた。既知のカイコトレハラーゼ遺伝子(trehalase 1)解析の過程で、これまでとは異なる塩基配列を持ち、ヒトトレハラーゼのアミノ酸配列により相同性の高いcDNA断片配列が見い出された。そこで、今回、新規のトレハラーゼcDNA(trehalase 2)の単離を試みた。現在、3' 非翻訳領域を含む1675bpの塩基配列を決定しており、5' RACEによる全長の塩基配列の決定を進めている。推定される513残基のアミノ酸配列中には、コンセンサス配列であるtrehalase signature 1, 2、及び相同性の高いグリシンリッチな領域が見られた。又、トレハラーゼ1とは異なり、トレハラーゼ2のアミノ酸配列のC末端側には、疎水性の高い、膜貫通領域が存在することから、このcDNAは膜結合型トレハラーゼをコードする可能性が示唆された。