日本蚕糸学会 学術講演会 講演要旨集
日本蚕糸学会第73回学術講演会
セッションID: 219
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カイコBroad-Complex cDNAのクローニングと脱皮・変態過程における発現解析
Reza A.M.S金森 保志菊池 鏡子志村 幸子篠田 徹郎*神村 学
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抄録

 Broad-Complex(BR-C)は、ショウジョウバエでは脱皮ホルモンによって直接発現が誘導される転写因子であり、蛹化過程で発現して蛹化に必要な遺伝子群の発現を誘導することが知られている。カイコからBR-C cDNAをクローニングして、脱皮・変態過程におけるmRNAの発現を調べた。縮合プライマーを使ったRT-PCRおよび5'RACE、3'RACEを組み合わせることにより、全長425アミノ酸のBR-C Z2アイソフォームと456アミノ酸のZ4アイソフォームをコードするcDNAをクローニングした。前部糸腺では、4齢期中および5(終)齢の摂食期中にはBR-C mRNAは発現せず、ワンダリング期以降でのみ強く発現していた。また、脱皮ホルモン処理によりBR-C mRNAの発現が誘導されたが、幼若ホルモンを同時に処理するとこの発現誘導は抑えられた。蛹化過程で特異的に強く発現するトレハラーゼ、P450 CYP9G1、有機カチオン・トランスポーター1のプロモーター領域を調べたところ、BR-Cの結合配列が見いだされた。現在、これらの遺伝子の転写制御におけるBR-Cの役割についても検討を進めている。

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© 2003 社団法人 日本蚕糸学会
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