抄録
カイコのEST データベースを用いてαー、βーチューブリン遺伝子の検索を行い、これまでのものを合わせ、3種のαー、4種のβーチューブリン遺伝子をクローニングした。αーチューブリン遺伝子ではBMTUA1はほぼすべての器官で認められたが、BMTUA2は脳、複眼、翅原基で、またBMTUA3は精巣のみで認められた。βーチューブリン遺伝子ではBMTUB1,2はほぼすべての器官で認められたが、器官、ステージでの変動がみられた。BMTUB3は脳、胚、脂肪体、翅原基で、BMTUB4は精巣のみで認められた。これらの結果から、BMTUA1はBMTUB1,2とヘテロダイマーを形成し、BMTUA3はBMTUB4と精巣でヘテロダイマーを形成することが推定された。BMTUB3,BMTUA2は脳、翅原基などの特殊なところで発現することが考えられた。また、BMTUB3とショウジョウバエのエクダイソン誘導性のβーチューブリン遺伝子との構造の類似が明らかとなった。翅原基ではステージにより、発現するβーチューブリン遺伝子に変化がみられ、変態期の形態形成へのチューブリンアイソタイプの微小菅の構築が関与が推定された。