ショウジョウバエの性決定遺伝子doublesexのカイコホモログBmdsxには雄型と雌型が存在する。piggyBac遺伝子導入ベクターを用いて雄型のBmdsxを雌カイコにおいて強制発現させると、これらの雌蛾の外部生殖器及び内部生殖器において雄に特徴的な器官(把握器、鈎器、陰茎、付属腺、貯精嚢、射精管)の部分的な形成がみられる(第25回分子生物学会年会発表)。その後の解析により、これらのトランスジェニック雌では雌特異的に合成されるビテロジェニンの発現量が形態的変異の程度に応じて減少しているばかりでなく、雄の触角で高い発現を示すpheromone binding proteinの発現量が増加していることがわかった。以上の結果は、雄型Bmdsxがカイコの雄分化に関与することを強く示唆している。