日本蚕糸学会 学術講演会 講演要旨集
日本蚕糸学会第73回学術講演会
セッションID: 318
会議情報

清水褐卵b-2sに関する遺伝学的解析
*清水 久仁光廣川 昌彦立松 謙一郎小瀬川 英一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

1995年、生物研の保存系統No.922 cts luから褐卵蛾区が1区見いだされた。この褐卵をbと仮称し、正常卵色系統との正逆交雑によるF1, F2, F3の卵色分離を調査した結果、母性遺伝をする劣性形質であった。母性遺伝をする褐卵遺伝子としてb-2naがある。bとb-2naとの対立性を検討するため正逆交雑による後代の卵色分離を調査したところ、F1,F2では何れを母体としても褐卵蛾区のみが得られ、F3では褐卵416蛾区と正常卵色2蛾区が得られた。当初、F3の正常卵色蛾区の出現に混入が疑われ、bとb-2naとは複対立関係にあるとみなし、bを改めてb-2s(清水褐卵, maternal brown egg of Shimizu)と命名した(清水ら,2002)。今回、F3を再調査したところ、褐卵663蛾区の他に正常卵色6蛾区が得られ、組換型とみなされる正常卵色蛾区の出現が再確認された。b-2とb-2naとはトランス配列の際に遺伝的相補性が無い(F2)にもかかわらず、組換型が生じる理由は、二種の褐卵突然変異が同一遺伝子内の異なる箇所にそれぞれ突然変異が生じたものと仮定すれば説明可能であった。

著者関連情報
© 2003 社団法人 日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top