正常なカイコ幼虫は真皮細胞に尿酸を蓄積して光を反射しているため皮膚が白色不透明になる。og突然変異体では、尿酸を合成するキサンチン脱水素酵素(XDH)活性が失われているため、幼虫皮膚が透明になる。昨年の本大会では、XDHに必要なモリブデン補酵素(MoCo)合成に関わるキイロショウジョウバエmal(MoCo sulfurase)のカイコホモログとog遺伝子とが同一の遺伝子座にあることを報告した。しかし、og突然変異体ではこの遺伝子にアミノ酸置換があるのみで、はっきりした異常が見つからなかった。そこで今回は、ogの対立遺伝子ogkとogtとについて解析した。その結果、ogt突然変異体においては、トランスポゾンの1種のMITEがエクソン中に挿入して突然変異を引き起こしていることがわかった。BLAST検索の結果、このMITEと似た配列は見つからなかったので、新規MITEとしてOrgandyと命名した。一方、ogk突然変異体においてはエクソンを含む領域の欠失が見つかった。