抄録
本研究の目的は,音楽科鑑賞授業での音楽認識における「媒体」の役割を明らかにすることである。本研究では,音楽科鑑賞授業での音楽認識における「媒体」の位置付けを検討しオペラを教材とした授業の事例分析を行った。その分析結果をもとに,音楽科鑑賞授業での音楽認識における「媒体」の役割として以下の3点を見出した。①鑑賞者が音を〈鑑賞の媒体〉として扱うことは,鑑賞者が形式的側面の知覚・内容的側面の感受・文化的側面の理解を統合し,認識を深めて解釈を得ることを可能にする。②鑑賞者が音を〈鑑賞の媒体〉として扱うことは,鑑賞者が作品の鑑賞を進めるための学習方略として機能する。③鑑賞者が言葉を〈表現の媒体〉として扱うことは,鑑賞者が認識によって得た解釈を発信することを可能にする。