抄録
本稿は,道徳科授業プログラムの効果を検討し,それを材料として,林(2025)を参考にしつつ,道徳科の教科内容を検討する。「道徳的行為に関する体験的な学習」プログラムを実施した学級では,教材(教科書)を使用し,内容項目(道徳的価値)の具現化について学ぶ過程で,ロールプレイング(学習指導要領では役割演技と表記)を活用した。その結果,量的評価「道徳性診断検査HEART」では,生徒の生活規範(行動傾向)に10%水準で有意な傾向があった。また,質的評価「テキストマイニング」では,言語化した学びの様相からモラルスキルを関係性の中で創造することにつながったことが見て取れた。以上を踏まえて,内容項目(道徳的価値)をきっかけとして,道徳的諸価値(価値の複合体)を想起し表現することにつながったと判断した。結論として,道徳科では,教科内容の一部としてすでに有している「自己の価値観」に大きな意味があることを示した。