800K以下の比較的低温領域における合金の表面酸化挙動について, 特に鉄基合金およびニッケル基合金の表面選択酸化に焦点をしぼり解説した。一般に, 表面酸化は酸素との親和力の大きい合金元素から始まり, 次に酸素との親和力の小さい合金元素が酸化される。低い酸素分圧程, 酸素との親和力の大きな合金元素の選択酸化に有利である。特に, 適切な酸素分圧のもとでは選択酸化に最適な温度が存在する。表面選択酸化に関して, 下地合金の相互拡散過程の重要性について検討した。さらに, 光磁気ディスク材料として最近使用されている蒸着合金薄膜の選択酸化について, 信頼性の問題と関連して紹介した。