X線定在波法は古くから硬X線領域で表面構造解析の手段として用いられてきたが,軟X線領域の定在波実験も放射光の利用によって可能になった。軟X線の波長は結晶の格子面間隔と同程度になるが,特に,垂直入射の回折条件ではDarwin幅が異常に大きくなり,定在波が得られやすい。したがって,モザイク度の高い金属単結晶のような系にも適用できるという長所がある。ここでは,軟X線定在波法の原理,解析法,実験法について述べ,つぎに,SEXAFSを併用した実験によって,金属表面原子層の緩和についての情報が得られること,また,異なる二つの格子面での定在波実験による,いわゆる三角測量法によって,吸着サイトの高次構造がわかることなどを,ニッケル単結晶表面へ塩素,硫黄原子が吸着した系を例に挙げて説明する。