表面科学
Online ISSN : 1881-4743
Print ISSN : 0388-5321
ISSN-L : 0388-5321
微細磁区観察のためのコロイド-SEM法
後藤 公美
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 13 巻 9 号 p. 533-539

詳細
抄録

光学顕微鏡を用いる磁区観察の分解能より優れた分解能をもつ観察法として,従来の粉末磁区図形(ビッター図形)を乾燥して走査電子顕微鏡(SEM)により観察する方法を考案し,コロイド-SEM法と名付けた。本方法は磁性体に付着したFe3O4微粉末を媒介とするものであるが,コロイド溶液の撰択により 200nm程度の磁区観察の分解能をもつ。この方法を用いて,結晶磁気異方性の大きな硬質磁性材料BaO・6Fe2O3,MnBi化合物,Sm-Co 系化合物,Nd2Fe14B化合物などについて単磁区微粒子像を初めて明らかにし,代表的な観察例を示した。さらにそれらの単磁区微粒子臨界直径の実測結果も示した。また,垂直磁気記録材料であるCo-24 wt% Cr薄膜に記録した高密度磁気記録の観察にこの方法を適用した結果,記録図形の細部まで観察が可能となり,記録密度 50kBPI および 100kBPI の場合の観察例を示した。

著者関連情報
© 社団法人 日本表面科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top