最近, SR光を用いた表面研究が盛んに行われるようになってきた。アルカリハライドなどのイオン結晶表面についての研究は,金属や半導体表面と比べてまだ報告例も少ないが,それらとは異なった興味ある現象も見出され,また従来のモデルの再検討を要する実験結果も報告されるようになってきた。そこで,本解説では,アルカリハライド結晶表面からの構成原子の脱離についての研究を概観し,ついで,SR光を用いた励起アルカリ原子の光脱離についてのわれわれの研究結果の一部を報告する。さらに吸着系における光ドーピングついての研究例を紹介し,アルカリハライド表面における動的過程の研究の現状を解説する。