近年,数原子から1000原子程度から構成される金属クラスターは,固体金属と原子とを結ぶ中間相として,また固体表面のモデルとして注目され,電子構造や幾何構造,さらには吸着反応性が明らかにされてきた。金属クラスターの吸着反応は,クラスターの電子状態と幾何構造との両者に支配されており,吸着反応を各原子数ごとに調べるとクラスターの構造が明らかにできる。また,合金クラスターの吸着反応では,イオン化ポテンシャルを指標とすることにより,それぞれ元素の混ざり方を知ることができる。コバルトとバナジウム(ConVm)またはナトリウム(ConNam)の二つの合金クラスターでは,金属元素同士は混ざり合いながら,安定な幾何構造へ再編されるが,シリコンとナトリウムのクラスター(SinNam)では,半導体元素と金属元素は混ざり合わず別々に存在していることが明らかになった。