表面科学
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電子分光法による表面定量分析法の進歩
吉原 一紘
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1995 年 16 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

電子分光を用いる表面分析法が実用化されて,広く市場に出回りはじめてからすでに20年以上が経過している。その間に,電子分光法に対するユーザーの認識は「定性分析法」から「定量分析法」へと厳しいものになってきた。1982年にVAMASプロジェクトが発足して以来,ハードウェアの面では,強度軸,エネルギー軸の較正法に関して,いくつかの提案がなされたし,またソフトウェアの面でも,バックグランド差し引き法や脱出深さ計算法などに関して精力的な研究がなされた。さらに,スペクトルデータの記録方式の統一基準が提案され,各メーカーのスペクトルデータをこの方式に変換し,データ処理法を共通で評価するためのソフトウェアも開発され,スペクトルデータベースを構築する目途が立つようになった。これらを受けて,1991年より表面分析の国際規格化を図るためにISO/TC201委員会がわが国の提案を基にして設立された。このように,電子分光法による表面組成の定量精度の向上を目指した研究はこの15年で大きく進歩した。

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© 社団法人 日本表面科学会
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