1995 年 16 巻 10 号 p. 624-630
これまで行われてきた量子ドット構造の作製技術の研究の中で,特に薄膜の成長様式のひとつであるStranski-Krastanov(SK)成長モードによる自然形成技術に焦点を合わせて論じる。 まず量子ドット作製技術が満たすべき一般的要件およびStranski-Krastanov成長モードを用いた量子ドット作製の研究の流れについて概観する。これらをふまえ筆者らの成果を中心に論じている。成長温度,成長時間および使用する基板を変えたときのドットの形成の様子を明らかにし,ある成長時間以上で急激にドットの密度が高くなることを示した。また,ドットの形成は基板にも敏感で傾斜基板を使用すると同じ成長時間でもJust基板に比べてドットの密度が高いことを示した。さらにドットの形成について詳しく調べるためにAFMにより表面構造を観察した。マルチステップを形成することによりドットがステップ端に形成されやすいことを確かめた。また,この特徴を利用してステップに沿ってドットを配列することに成功した。