抄録
近年,都道府県教育委員会,市町村教育委員会,単独校,民間団体等によるスクールソーシャルワーカー配置事業あるいはスクールソーシャルワーク活動が増えつつある.兵庫県赤穂市においても, 2000年度から近隣の関西福祉大学との共同研究として「スクールソーシャルワーク推進事業」が始まった.この事業のねらいは,スクールソーシャルワークの理念を意識した子どもを育む学校づくりや地域づくりで,スクールソーシャルワーカーの配置を目的としている他のほとんどの事業と比較してもユニークな取り組みといえるだろう.
事業開始から4年間は「SSW推進モデル地域」を指定し,家庭一学校一地域のネットワーク強化と教職員の意識改革を目指した教員養成に力点を置いた事業が展開された.2004年度からは市教育委員会がスクールソーシャルワーカーを正式雇用し,市教育委員会管轄下の青少年育成センターを活動拠点として,学生ボランティア派遣に関わるボランティアコーディネート,地域サポート会議の実施,ケースワーク等を中心に実践活動を行っている.
限られた活動時間の中で,赤穂市の状況により有効なスクールソーシャルワーク活動を行うとすれば,メゾ・マクロレベルの活動,つまり資源開発,インフォメーションリソース,ネットワーク構築としての機能を充実させていくべきであろう.また,これらの実践活動を“予防”という観点からも実施していくことが今後の課題である.