学校ソーシャルワーク研究
Online ISSN : 2758-5018
Print ISSN : 1881-9788
実践報告
ニューヨークでのスクールソーシャルワーク実践報告:個人治療的アプローチを超えて
中村 みのり
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2010 年 5 巻 p. 68-79

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抄録

ソーシャルワークの個人治療的アプローチ,すなわち個人の心理レベルで「問題」を更正・治療しようとする今日の米国で主流となっているソーシャルワークには大きな限界があり,「問題」を背負わされている個々人の尊厳や主体性を回復し社会的環境を変えるための働きかけを積極的に行うソーシャルワークを構築していく必要性がある.本稿ではこうした問題意識に基づき,米国におけるソーシャルワークの歴史的な経緯や今日の若年層をとりまく社会環境を検討するとともに,2008年から 2009年にかけて筆者自身が米国ニューヨーク州ニューヨーク市ブロンクス区にある公立高校で経験したスクールソーシャルワーク実践について報告する.メディエーション,家族とのやりとり,グループワークなど実際に担当した具体的なケースに基づいて,個人治療的アプローチを超えたスクールソーシャルワークの意義と可能性を論じる.

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© 2010 日本学校ソーシャルワーク学会
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