わが国の公教育にも,学校ソーシャルワークが導入され,支援が展開され始めている.しかしながら,これまでわが国の社会福祉領域では,学校における福祉的サービス実践の蓄積は甚だ乏しいといわざるを得ない.
今後,教育臨床に学校ソーシャルワークが定着し,より有効な支援が展開されていくためには,実践のシステムや携わる者にとって,ソーシャルワークだけではなく,学校現場に関わる学際的な知見がますます必要になってくると考えられる.
本稿では,筆者自身の教育臨床における実践体験と,当該領域の学際性に関わる先行研究の中から学校心理学および臨床教育学への検討を踏まえ,学校ソーシャルワークがわが国の教育臨床において定着・発展していくために必要となる学際的な知見について検討した.
その結果,教育学,福祉学,心理学による学際的な研究・実践がミニマムな要件として必要であることが明らかとなった.具体的には,学校教育や学校文化に関する知見,そして児童生徒を支援するための心理学関連の学問領域を含むものが要件として挙げられる.
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