コンピュータ ソフトウェア
Print ISSN : 0289-6540
対話型ソフトウェア構築のためのマルチエージェント
村田 真荒谷 徹林 祥一増市 博
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1994 年 11 巻 2 号 p. 2_83-2_99

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抄録

本論文は,エージェントの階層構造によって対話型ソフトウェアを構築するというモデルを提案する.本モデルの効果は,個々のエージェントが単独で対話型ソフトウェアとして動作し,他のエージェントを考慮することなくテスト・デバッグ可能なことである.これはエージェントに自律性(有目的性・自発性・自己完結性・局所性)を導入することによって達成される. 自律性を導入したとき問題となるのが,協調との両立である.自律性がエージェント単体での動作を保証するのに対し,協調は,エージェントの集まりを対話型ソフトウェアとして動作させる役割を持つ.協調計算一般には,自律性と協調の両立は困難であることが知られている. 本研究では,協調を一体化のための協調と一貫性のための協調とに分け,それぞれを階層構造上の適切な場所に記述することによって,自律性と協調を両立させる.一貫性のための協調は,アプリケーション本体を共有する複数のエージェントの表示を一貫させる.一体化のための協調は,複数のエージェントが一体となって1個の対話型ソフトウェアとして働くことを可能にする.

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© 1994, 日本ソフトウェア科学会
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