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Print ISSN : 0289-6540
隣接しない動作間の時間制約を記述するためのLOTOS言語の拡張とその等価性の検証
中田 明夫東野 輝夫谷口 健一
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1995 年 12 巻 6 号 p. 6_521-6_534

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抄録

本論文ではLOTOS言語[6]のサブセットであるBasic LOTOSを拡張した言語LOTOS/Tを提案する.LOTOS/Tでは各動作がいつからいつまでに実行されなければならないといった時間制約を線形不等式の論理結合で簡潔に記述できる.また,各動作の実行時刻を変数に代入することによって,隣接しない動作間の時間制約を記述できるなどの記述能力を持つ.LOTOS/Tの意味はラベル付き遷移システム(LTS)を用いて定義される.本論文では,LTSが動作式から機械的に構成できる推論規則を与える.次に,時間的双模倣等価性と非時間的双模倣等価性の2種類の等価性を導入する.その推論規則を用いて構成されたLTSが有限であれば,LOTOS/T記述のこれらの等価性は観測等価性と同様の方法で判定可能である.特に非時間的双模倣等価性を機械的に判定できることは,時間制約を変更した時に動作の等価性が保存されているかどうかの機械的検証を可能にするもので,リアルタイムシステムの開発に有用である.LTSを縮約し状態数を有限に抑える工夫についても述べる.

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© 1995, 日本ソフトウェア科学会
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