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Print ISSN : 0289-6540
次数相関を持つ複雑ネットワーク上における浸透問題
谷澤 俊弘
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2011 年 28 巻 1 号 p. 1_135-1_144

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抄録

複雑ネットワーク上の巨大連結成分がさまざまなタイプのノード除去に関してどのように崩壊していくのかを正確に理解することは,外部擾乱に対して頑強なネットワークを作り上げようとする場合に非常に重要な問題である.ところが,従来の理論解析では,次数分布のみを用いた解析が主であり,現実のネットワークに必ず存在するノード間の次数相関はあまり考慮されてこなかった.本論文では,ネットワークに次数相関を取り入れた場合に,さまざまなタイプのノード除去に対してネットワーク上の巨大連結成分がどのように崩壊していくかを解析的手法を用いて考察する.その結果,同じ次数を持つノード同士が結合しやすい傾向があるネットワークでは,ランダムなノード除去に対しても,選択的なノード除去に対しても,ネットワークはより頑強となることがわかった.特に,スケール・フリー・ネットワーク内にあるハブへの選択的ノード除去に対して,その影響は顕著であり,スケール・フリー・ネットワークの弱点である選択的ノード除去に対する脆弱性を著しく改善できる可能性がある.

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© 日本ソフトウェア科学会 2011
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