コンピュータ ソフトウェア
Print ISSN : 0289-6540
自律分散制御から知能創発の工学化への視点
我妻 広明
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2011 年 28 巻 1 号 p. 1_2-1_20

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抄録

コンピュータの分野において,自律分散制御方式は集中型システムの開発・稼働における欠点を補うものとして注目され研究が進められて来た.今やインターネット普及等を背景に,分散した情報を知識として再集約する集合知の仕組みを考える必要性がある.全体機能や目的をシステム自身が再定義する,つまり集団全体が意志決定を行うという観点が導入されつつある.工学化において自明であるべき目的すら再構成されるとすればシステム破綻や暴走のリスクが増すことは疑いない.本論では,現実に自律分散制御の内部機構を持ちながら,自らで目的を定義し意図をもって行動計画を立てる「脳」の機能を工学的に再構成する脳型ロボットの立場から俯瞰し,要素の自律性と全体性創出の関係からある種の集合知を得る工学的方法論を模索したい.そして,ネットワークダイナミクスが発展的でありつつも,破綻に向かわない構成論と関連する「意識」の話題を解説する.

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© 日本ソフトウェア科学会 2011
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