コンピュータ ソフトウェア
Print ISSN : 0289-6540
単一管理体でも運営可能な匿名通信システムの設計と実装
渡辺 喜道美濃 英俊山崎 晴明
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2011 年 28 巻 2 号 p. 2_105-2_117

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抄録

電子メールシステムが普及し幅広い場面で利用されるにつれて,個人情報保護の観点からメッセージの宛先や発信元情報を秘匿したいというケースが多くの場面で発生してきている.しかし,宛先や発信元の情報はメッセージの配送,返信の配送に必要な情報であるため,これらを秘匿しつつ通信を実現することは容易ではない.本研究はこの課題を解決する方法の提案であり,送信元を秘匿したまま送受信者間での継続的な情報のやり取りを可能にし,通信システム自体からも送信者・受信者の対応を秘匿する点に特徴がある.本研究は,古くからある,紙上の悩み相談や身の上相談において,質問に対する応答のためには相談内容を公開し,一読者として相談者は回答を得るという方式に頼らざるを得なかったという問題点を,情報通信ネットワークの導入により解消した研究である.現在までに,ローカルネットワークを用いたプロトタイプシステムが稼動しており,その動作状況は実用化に向けて極めて期待の持てる状況にある.本稿では,匿名通信システムの動作原理とその効率化について述べ,プロトタイプシステムによる評価結果を報告する.

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© 日本ソフトウェア科学会 2011
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