数学的関数の近似値の計算法である最良近似式は,その形として四則演算のみを用いるものに限っても,多項式と有理式の形のものが用いられている。ここでは有理式の代りにむしろ連分数をとりあげ,多項式と連分数の計算の1段の演算要素を抽出して,それらを任意に組み合わせる混合形近似式を定義する.自由度(任意に定め得る定数の個数)が一定の混合形近似式の族は同じ自由度をもつ多項式,連分数,有理式のすべてを含み,かつすべての定数を自由に定めうる有理式とは対応しない式も含むため,有理式より広いクラスを形成する.その意味において,現在における近似式の一般形と考えられる.また,関数によっては上記有理式とは対応しない混合形近似式の中に,最大誤差最小のものが存在する例があり,従来知られていなかった精度の良い近似式を発見できる可能性がでてきた.また,混合形の最良近似式の計算も容易である.