日本食品保蔵科学会誌
Online ISSN : 2186-1277
Print ISSN : 1344-1213
ISSN-L : 1344-1213
フキ(Petasites japonicus)のクロロゲン酸酸化酵素の精製と性質
韓 雲哲趙 福善小川 剛史太田 真由美藤田 修二
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 35 巻 4 号 p. 179-186

詳細
抄録

 フキのポリフェノール酸化酵素をアセトン沈殿,イオン交換クロマトグラフィー,疎水クロマトグラフィーおよびゲル濾過により精製した。これらの操作により,本酵素はアセトン分画後の粗酵素液の約115倍に精製され,回収率は11.3%であった。本酵素はPAGEおよびSDS-PAGE上で単一のバンドを示し,電気泳動的に均一であった。精製酵素の分子量はゲル濾過およびSDS-PAGEによりそれぞれ26,000および25,000と推定された。本酵素はクロロゲン酸および(-)-エピカテキンを強く酸化し,クロロゲン酸(pH 4.0,30℃で測定)および(-)-エピカテキン(pH 8.0,30℃で測定)の酸化反応時のミカエリス定数はそれぞれ,0.14 mMおよび0.7 mMであった。本酵素のクロロゲン酸酸化活性(ChO)および(-)-エピカテキン酸化活性(EpO)の最適pHはそれぞれ,4.0および8.0であった。ChO,EpOの両活性ともpH4~9の範囲で,4℃,22時間安定であった。両活性とも最適温度は30℃であり,60℃で10分間の加熱処理に対して安定であった。両活性とも5 mMのL-アスコルビン酸およびL-システインにより強く阻害された。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人日本食品保蔵科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top