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Print ISSN : 0289-6540
静的型検査を行なうオブジェクト指向言語Mistyにおける動的な型の扱い
久野 靖
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1992 年 9 巻 2 号 p. 2_88-2_101

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抄録

現在多く使われている静的な型検査機構を持つオブジェクト指向言語においては,1つの変数が動的に複数の型(クラス)の値を持つことができる機構を言語に組み込んだため,従来の強い型を持つ言語と比べて型検査の能力が弱まる,型のないオブジェクト指向言語に見られる,型(クラス)を普通の値として扱うような機構を取り入れるのが困難である,などの問題点を抱えている. 一方,Mistyは筆者が考案した静的な型検査機構を持つオブジェクト指向言語であるが,1つの変数は常に1つの型(クラス)の値しか持たない,という強い型の枠組みを守り,動的な型の切り替えは組み込みクラスの機能として位置付けるという立場を取る.本論文では,このような方針を取ることで動的呼び出し機構の拡張,動的継承など従来の強い型を持つオブジェクト指向言語では難しかったことが自然に記述できることを示し,またMistyの自然な拡張として型を一般の値と同等に扱えるようにする方式を提案している.

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© 1992, 日本ソフトウェア科学会
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