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Print ISSN : 0289-6540
未知時変非線形関数の最小稜線探索問題とその実時間解法について
渡辺 俊典
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1992 年 9 巻 4 号 p. 4_318-4_334

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抄録

条件Kのもとで行為Cを選択したとき効果Jがあたえられる環境の中で,経験を通じて,任意のKに対しJからみて常に適切な行為Cを選択できるようになる仕掛けを,学習あるいはより一般に適応機械と見做す.本報告では,学習機械の構成問題が未知時変非線形関数の最小稜線探索問題として定式化できることを示すと共に,あるクラスの非線形関数に対して,その実時間解法が存在することを,学習機械TAMPOPOを構成することによって証明する.TAMPOPOは経験事実のメモリーとメモリー書き換え作用素とを持つ開放システムである.メモリー書き換え作用素は無用な経験すなわち未知非線形関数の最小稜線要素と見做せない経験をメモリーから放逐し,メモリー内容を作用素の不動点である最小稜線に漸近収束させる.無用経験認定機構の工夫によって古い不動点からの脱却が可能となり,時変系に対する適応能力をも実現できる.これは,ニューラルネットなどに比べたTAMPOPOの新しい特色である.

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© 1992, 日本ソフトウェア科学会
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