本研究は、情報システムを製造する企業において人間中心設計-ユーザ経験アプローチ(UX)の研修後に職場にお けるUX実践が生じない理由を調べ、その理由の背後にある原因を、研修に参加した情報技術者が暗黙知を学びほぐす 過程で直面する心理的困難と組織行動的障壁の観点から分析した。次に、それらの困難や障壁を低減して役割モデルを 育成するためのOff-the-job trainingと職場実践時の支援環境を設計し当該企業において実施した。その結果半数を超 える研修参加者が彼らの職場事情に適合した独自の実践を企画して承認され約1年間にわたりその企画を推進し、具 体的UX実践による変化を示した。