2023 年 52 巻 6 号 p. v-viii
肋間開胸による低侵襲心臓手術 (MICS: Minimally InvasiveCardiac Surgery) が近年増加している.2018~2019年のJCVSDのデータによれば,僧帽弁手術の42.6%がMICSで実施されていた.MICSは整容性に優れるだけでなく,胸骨を切開しないため,退院後の運動制限がなく社会復帰が早いなど,多くの利点があるが,MICS特有の合併症など注意すべき点も多い.限られた術野内での手術操作に関する問題と,大腿動静脈アクセスによる体外循環に関連する問題があり,ラーニングカーブにおいて合併症が多く発生する傾向がある.MICSを導入する際には,これらのピットフォールを十分に理解し,予防することが何よりも重要である.