社会福祉学
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知的ハンディキャップをもつ人と出会う学習における学習者の意識変容
木立 正敏
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2003 年 43 巻 2 号 p. 113-124

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抄録

本研究は,高等学校の授業における知的ハンディキャップをもつ人と出会う学習での学習者の意識変容を,質的な評価を試みながら解明しようとした探索的研究である。事例研究の結果,以下のことが探索的知見として明らかにされた。知的ハンディキャップをもつ人と出会う学習は,学習者にこの人たちと学習者自身への多くの気づきをもたらし,共生的信念の形成を促進する可能性がある。一方で,この学習は,社会ダーウィニズム的信念をもつ学習者などの拒絶や拒否を引き起こす可能性があり,その要因の解明が今後の課題である。社会ダーウィニズム的信念の変容には,学習者が自己の認識枠組みを意識化し,自己形成の歩みを検証し,自らの抑圧された感情を自分のものとして生き,自己形成の物語を語り直すことによって,共生的信念に自ら至るという過程が必要であると考えられる。

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© 2003 一般社団法人 日本社会福祉学会
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