社会福祉学
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中途視覚障害者の"白杖携行"に関する調査研究 : アンケート調査による意識と実態の把握
高田 明子
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2003 年 43 巻 2 号 p. 125-136

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抄録

中途視覚障害者における白杖携行の意識と実態の把握を目的に,国立S病院ロービジョンクリニック患者会161人を対象に,郵送アンケート調査を実施した(回収率57.8%)。結果は,回答者の51.1%が白杖不携行であった(身障手帳1,2級の重度障害者の40.8%,歩行訓練士4人が必要と判断した者の33.3%)。白杖携行には,当事者意識,歩行訓練,視力(いずれもp<.001),身障手帳等級(p<.01),年齢(p<.05)が有意に関連していた。白杖支給時に福祉窓口で白杖の役割や歩行訓練の情報提供を受けた者は5.4%と少なかった。中途視覚障害者は,白杖に対し「障害を開示する」「他者の視線を集める」「あまり役に立たない」など抵抗感が強かった。そのために,白杖携行を意思決定するまでに,視機能の低下や移動の危険を認識後も,長い期間,さまざまな葛藤や苦悩を繰り返していた。これら当事者の実情から,白杖携行を促進するような福祉的支援の必要性が示唆された。

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© 2003 一般社団法人 日本社会福祉学会
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