抄録
家族グループ会議(FGC)は,ニュージーランドを発祥の地としてオーストラリア,アメリカ,イギリスなどで広く展開されるようになった当事者と家族グループによる意思決定アプローチである.とくに少年司法におけるFGCは,損害の賠償,被害者と加害少年の関係修復,コミュニティの回復といった要素を含み,修復的司法の観点から新たな方向を示すものとして注目を集めてきている.本稿は,ニュージーランドにおけるFGCの発展経緯,その実践過程,成果を分析・検討し,わが国の少年司法においてFGCを実践するための意義と具体的課題を論じている.