社会福祉学
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地域生活支援をめぐる精神科ソーシャルワーカーの本質的使命 : 2つのジレンマを手がかりとして
横山 登志子
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2006 年 46 巻 3 号 p. 109-121

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抄録
わが国の精神保健医療福祉施策は急速に変化しており,適正な精神医療と包括的な地域生活支援を志向している.なかでも地域生活支援をになうソーシャルワーカーは,存在意義が高まっている.本稿ではこの動向を踏まえ,精神医療が地域生活支援を視野に入れたときに生じるソーシャルワーカーのジレンマを取り上げ,ソーシャルワーカーの本質的使命を考察した.その結果,第一に「生活の医療的管理」現象について「医療化」概念を用いて批判的に検討し,ソーシャルワーカーの本質的使命とは,利用者の再定義を前提とした関係性にあると指摘した.第二に,多様な職種が地域生活支援をになうなかで「ソーシャルワークの固有性」が見えづらい点について,生活支援の特性から考察し,専門家としてのスタンスの固有性について指摘した.さらにソーシャルワーカーの専門性とは「高度な知識・技術の適応者」にあるのではなく,「実践における知識・技術の生成者」にあると述べた.
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© 2006 一般社団法人 日本社会福祉学会
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