本研究は,要介護認定を受けていない在宅高齢者(男性44人,女性122人)に対して面接法と郵送留置法による調査を行い,外出頻度による閉じこもりを定義してその関連要因を明らかにすることを目的とした.対象者における「閉じこもり群」は21.1%(35人),「非閉じこもり群」は78.9%(131人)であり,「閉じこもり群」の比率は先行研究と比べてやや高い傾向にあった.閉じこもりに関連する要因としては,老研式活動能力指標全体,下位尺度の社会的役割,健康度自己評価,体力自己評価,社会活動,ソーシャルサポートが挙げられたが,手段的自立や知的能動性といった活動能力と,地理的要因には関連がなかった.関連がみられた要因について多重ロジスティック回帰分析を用いて分析した結果,社会的役割,体力自己評価,社会活動のうち市民館等での学習活動が閉じこもりの有無と有意に関連しており,社会的役割や体力自己評価が高いほど,市民館等での学習活動を行っているほど,閉じこもりとなるリスクが低くなる結果となった.特に,体力自己評価は現在のIADL能力等には関連がないにもかかわらず閉じこもりの要因となっていた.地域で閉じこもり予防活動等を行う際には,高齢者の体力に着目した活動内容を検討することが有効である可能性が示唆された.
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