社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
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知的障害者入所施設からの地域生活移行が移行者に及ぼす影響に関する研究
森地 徹
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2011 年 51 巻 4 号 p. 80-90

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抄録

本研究では,知的障害者入所施設からの地域生活移行を客観的にとらえるために,地域生活移行が移行者に及ぼす影響に焦点をあて,地域生活移行による移行者の客観的状態の変化の検証を行った.検証に際しては,海外諸国の研究動向を参考にし,移行者の適応行動と客観的QOLの変化を測定した.その際,測定に際して,移行者の適応行動の変化については適応行動尺度(ABS)を,客観的QOLの変化については社会的不利尺度をそれぞれ用いた.さらに,分析においては,対応のあるt検定と二元配置分散分析を用いた.その結果,対応のあるt検定では,移行者の適応行動にあまり変化がみられず,不適応行動に悪化する項目がいくつかみられた.また,移行者の客観的QOLに,半数以上の項目で改善がみられた.一方,二元配置分散分析では,移行者の属性の違いによって地域生活への適応状況や地域における生活状況に達いがみられた.

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© 2011 一般社団法人 日本社会福祉学会
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