本研究の目的は,児童自立支援施設において小規模ケアおよび家庭的養育を具現化してきた小舎夫婦制と交代制によって提供されたケアの内容および時間,ケアに関わる職員の負担感に関する実証的データを比較し,これらのケア提供体制の特徴を明らかにすることである.その方法として,児童自立支援施設2施設において,他計式1分間タイムスタディ調査データを用いての分析を行った.研究の結果,小舎夫婦制の入所児童の情緒・行動上の障害の程度は,交代制より比較的重く,また,提供されたケア内容は身の回りの世話に関するケア時間が長かった.さらに,小舎夫婦制での提供時間は交代制よりも長かったが,交代制に比較すると負担感は軽かった.今後は,すでに運営が困難となっている小舎夫婦制に変わる新たな体制を模索するとともに,すでに実施されている交代制においても人事マネジメント等のあり方を改めて検討する必要があると考えられた.