社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
Print ISSN : 0911-0232
昭和20年代における糸賀一雄のコロニー構想と知的障害観
蜂谷 俊隆
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 53 巻 1 号 p. 104-116

詳細
抄録

本論文は,糸賀一雄の昭和20年代におけるコロニー構想と知的障害観について,思想的な背景とともに当時の社会状況との関連も含めてとらえ直すことを試みた.そして,糸賀のコロニー構想には,知的障害児の養育と教育を通じて,敗戦後の日本の復興を担うといった直接的な有用性の視点から,人間存在の根源的な問い直しを経て,社会防衛的な観点からではなく,より普遍的な支援の仕組みとしてのコロニーへの展関がみられる.そして,その背後には,知的障害児者と社会との関係を固定的にとらえるのではなく,知的障害児者への支援を通じて社会のあり方をも変革するといった思想的な深まりもある.さらに,世界の平和と自らの実践との関わりを意識した思索が,それを方向づけている.

著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本社会福祉学会
前の記事 次の記事
feedback
Top