社会福祉学
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家族が罪を犯したことによる主観的認識と社会関係の変化 : 「地域」との関係性に注目して
高橋 康史
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2014 年 55 巻 1 号 p. 49-62

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抄録

本稿は,家族が罪を犯したことによってその個人の社会関係がどのように変化するのかを,犯罪加害者家族自身の主観的認識の変化に注目しながら,「地域」との関係性に焦点を当て明らかにすることを目的としている.具体的には,スティグマを鍵概念として位置づけながら,犯罪加害者家族に対するインタビュー調査とその質的な分析を行い,家族が社会関係を維持・再構築するためにいがなる支援が求められるのかを考察した.インタビューの分析により,居住する地域への家族自身の認識が,社会関係の維持・再構築に影響を与えることが示された.地域を「自己の属性を詮索しない環境」と認識している家族は,関係性の維持・再構築を試みる傾向が見受けられた.一方で,地域を「自己の属性を詮索しない環境」と認識していない家族は,社会関係からの撤退を自発的に行う傾向にあった.よって,求められる支援として,犯罪加害者家族の置かれている現状を社会に知らせる活動,社会関係を構築しやすい地域作りを提示した.

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© 2014 一般社団法人 日本社会福祉学会
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