社会福祉学
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児童養護施設の援助者支援における共感満足・疲労に関する研究 : CSFの高低による子どもとの関わり方の特徴から
趙 正祐
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2014 年 55 巻 1 号 p. 76-88

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抄録

本研究の目的は,児童養護施設における被虐待児の増加の現状を踏まえ,共感満足/疲労という概念を取り入れて援助者の共感満足/疲労が子どもとの関わり方にどう影響するかを明らかにし,援助者支援のあり方について提言することである.調査は自記式質問紙で児童養護施設の職員を対象に14ヵ所の職員266人中,149人の回答を得て分析に用いた.その結果,「満足L疲労H」群は,子どもへの否定的関わりの可能性が示されて「満足H疲労H」群は,肯定・否定的関わりが両方高い傾向が見られ,二重的関わりの特徴が示唆された.「満足L疲労L」群は,肯定・否定的関わりは低い傾向が見られたが,バーンアウトリスクは高く見られた.このように,共感満足/疲労の度合いにより,子どもに否定・肯定的影響があることが明らかになった.そのため,援助者支援には,個人特性を踏まえた多様な職員集団を支援するための研修やスーパービジョンの必要性が示唆された.

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© 2014 一般社団法人 日本社会福祉学会
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