社会福祉学
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生活保護制度における高等学校等・大学等就学の「条件」に関する研究 : 「生活保護制度の実施要領」の分析を通じて
三宅 雄大
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2015 年 55 巻 4 号 p. 1-13

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抄録

本研究の目的は,生活保護受給世帯の子どもの高等学校等・大学等就学がいかに制度的に「条件」付けられているのかを明らかにすることである.以上の研究目的を追究するにあたって,本論では,厚生労働省の「生活保護制度の実施要領」を分析している.その際,分析の焦点を限定するために,(1)「自立の単位」(子ども/世帯),(2)「自立の意味」(狭義/広義),(3)「教育の位置付け」(教育=目的/教育=手段)という対立軸を設定している.本研究の結論は以下のとおりである.すなわち,子どもの高等学校等・大学等就学は,(1)保護の廃止を含意する「世帯の自立」か「子どもの就労自立」に資する限りで認められており,(2)「教育」が「世帯の経済的自立」の「手段」として位置付けられていること,(3)したがって,「通知」には「教育=目的」の観点や「広義の自立」に依拠する「自立助長」の観点が抜け落ちていること,以上である.

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© 2015 一般社団法人 日本社会福祉学会
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