子ども虐待対応では「専門職間連携」が,そして地域に基盤を置いた支援の展開が必要とされてきた.そこで本研究では専門職が捉えた「専門職間連携」のあり様に着目し,地域間の違いについて検証した.人口構造や子ども虐待対応件数,都道府県レベルでの対応システムの異なる東京都と石川県を調査対象地域として設定し,連携機会の多い児童相談所,保健所・保健センター,市(区)町村の児童家庭相談窓口に郵送式の質問紙調査を実施した.回答内容を分析した結果,両都県の「専門職間連携」を構成する潜在概念の因子構造には違いがあること,「専門職関連携」を実体として認知する際に生じる疑似相関の表出にも違いがあることが明らかとなった.さまざまな形で存在する「専門職間連携」を唯一の当為を志向して捉えるのではなく,それぞれの地域の強みや脆弱性を扱いながら多様な支援システムが有する潜在的な力を引き出す必要があると考えられた.