2017 年 58 巻 1 号 p. 112-127
本研究では,子ども虐待の危機介入において,不本意な一時保護をされた保護者と児童相談所の協働関係の構築についてのプロセスとその構造を検討することを目的とする.研究においては,児童相談所の支援者12人の研究協力者にインタビューを実施し,グレイザー派グラウンデッド・セオリーによりデータを分析した.その結果,32のコンセプトと14のカテゴリーが創出された.中核的なコンセプトは「つなげる」である.さらに,これらのカテゴリーは三つのステージに分類された.すなわち,「対話を創る」「つなげていく」「寄り添う」である.支援者はこれらの「つなげる支援」を通じて,保護者に働きかけることで協働関係を構築していくことがわかった.