社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
Print ISSN : 0911-0232
論文
タイにおける変わりゆく家族の形と高齢者ケア――中所得国における高齢化と家族介護に着目して――
三好 友良
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2019 年 60 巻 2 号 p. 110-123

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抄録

現在,タイにおいて急速な高齢化が進んでいる.既往研究においては,高齢化の進展とともに核家族化や都市化などが合わさり,「介護の社会化」が生じると説明されている.タイにおいても高齢化が進展しているが,タイにおいては過去30年間,核家族世帯の割合が減少し,拡大家族世帯の割合が増加している.本研究は,高齢者介護と家族の関係性に焦点をあて,独自の家族形態の変化が生じているタイにおける高齢者介護の変化と実態を明らかにすることを目的とする.国勢調査の分析の結果,市部地域において,甥や姪・孫などの親族から介護を受けている高齢者が増加していることが明らかとなった.また,フィールド調査の結果,子供と同居していない高齢者に対しては,周囲の親族が代替的に介護を行っており,核家族以外の親族に介護を頼る「介護の拡大家族化」とも呼べるプロセスがとられている事が明らかとなった.

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© 2019 一般社団法人 日本社会福祉学会
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